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2014年07月11日

CGプロダクション年鑑を見て、いつも思うこと

またCGプロダクション年鑑が発売される時期になりました。
この時期になり、紹介記事を載せ、実際に本を手にすると、
よく思うことがあります。

プロダクションやフリーランスのCG屋さんは
この本に限らず、それぞれのデモリールやwebにおいて自社の仕事を公開します。
このモラルに節操がないところが多いのです。

例えば、
有名な映画やゲームなどの大作のタイトルやメイン画像が掲げられている。
でも実際はそのホンの一部の制作に参加したに過ぎない。
パッと見は、「この映像のすべてを作ったのはここか?」と誤解しかねませんし、
どの部分を担当したのかは判りにくい。
もちろん、それがわかる表記になっているなら良いのですが、、

また良くあるのが、
全く同じ作品の同じカットが複数の企業の作品紹介として使われている。
こうなると、どこがどの部分を実際に担当したのか判らなくなってきます。

さらに実際にあった例では、、
とある公の場所で、とある企業さんがデモリールの上映を始めたのですが、
真っ先に流れたのが彼らが全く関わっていない、まさに我々が作った映像だった、
なんて事がありました。
(その企業は我々と同様に同じ映像に参加していたのですが、
担当していないシーケンスまで上映に使っていた)。

こうなってくると作品が提示されていたとしても、
「実際に作ったのは誰なんだ!?」という疑問ばかりになってきます。
こんな状況って、正しいのでしょうか?

こうなるのには理由がありますし、気持ちも良くわかります。

そもそもCG映像は集団で作るもので、すべてを一企業だけで作る事は稀です。
一部を信頼できる別のプロダクションや個人に外注する事はよくあることです。
中にはそのプロダクションの内製というよりも、実態はほぼ100%が外注で作られていた、
という作品さえあります(そこまでになっていながら「ウチの作品です」と銘打たれても、
なんだかズルい気がします)。

また、2次3次の、仕事の流れの末端で仕事をしているCG屋にとっては、
デモリール等のクオリティは死活問題です。
少しでも良いポジションを得るために、少しでも見栄えのする映像を
将来のクライアントに見せたくなるのが人情というものです。

そんなこんなで神経衰弱のような事態になってしまうわけです。

しかし。

大元のクライアント→受注した元請け企業→CG屋
という仕事の流れで考えれば、
そのCG屋に発注をしたのは、大元のクライアントから受注した元請け企業です。
あくまで映像を公に発表するための権利は大元のクライアントにあり、
そこに許可を取る為には、
自分が直接発注を承った直上のクライアント(元請け)に
お伺いを立て、大元に許可をとってもらうのがスジというものです。
一足飛びも反則になります。

仕事の流れの上下関係は、お金の流れが基本です。
特に契約に明記されていない場合(契約もしない場合が多いですが)、

・基本的にその仕事で作られた映像を世間に出すのは不可。
・もし媒体に出すなら直上のクライアントに許可を取ってから。

というのが業界でのごく普通の認識だと、私は思っています。
有名なコンテンツであればあるほど、
またWebや雑誌、CGプロダクション年鑑のような、
世界中に認知されたり、長く残るものであればあるほど、
そこを厳密に守らないと、上記のような混乱が起こります。

同じCG屋として、
「作ったのは自分だ」「実際にその制作能力があるのは自分なのだ」と、
言いたい気持ちも、痛いほど良くわかります。
しかしこの流儀を崩し、まったく同じ画像がほうぼうの
プロダクションのWebなどにたくさん掲載されるようになってしまっては、
何が何だか、わからなくなってしまいます。
そしてその状況を大元のクライアントが観たら、一体どう思うでしょうか。
名前も知らないプロダクションが自社の作品に関わっていて、
その画面がそこら中のプロダクションの作品集にあるような事態に
なっているのを知ってしまった、としたら。
今後の発注の仕方に影響するのではないでしょうか。

だから許可が必要なのです。
元請けや大元に対しての敬意があれば、その考えに至るはずです。

もし上位に何の許可も知らせもなく勝手に世間に公開していたとしたら、
その時点で、その企業にはうしろめたい感情があるのは間違いありません。
それははっきり言えば「今後こんな仕事があったら、元請け企業でなく、
ウチに直接下さいね」という下克上的な狙いです。
その気持ちもわかりますが、
そんな節操のない所を、私は信用しません。

全部をそのスタッフが作っているならまだ理解できます。
しかしもし、ホンの一部しか担当していないクセに、
その映像の全てを作ったかのように誤解される表示の仕方をしていた、としたら、
それはもう、やり方のズルい元請け企業と、なんら変わる所がありません。
そこがいずれ元請けとなったとき、正しいモラルを持てるでしょうか?
そして本当に、同じクオリティのものが作れるでしょうか?

CGを発注するプロダクションも受注するCG屋も、
お互いがお互いに敬意を払って、その仕事を提示すべきです。
「発注受注はあくまでお金の流れであって、
みんな同じ仕事をするパートナーなんだ」と考えてくれて、
スタッフロールに対等の位置で載せてくれたり、
大元のクライアントにちゃんと存在を説明してくれたり、
そんな配慮をしてくれるところもたくさんあります。
しかしそうだとしても、媒体に出す場合は、
受注者は発注者に許可を取るべきです。勝手にやるべきではありません。

CG屋としてはその映像に関わったなら、
「その映像のどの部分が自分の仕事なのか」をしっかり説明した上で
世界に誇るのが、本当のプロとしてのプライドでしょう。
そういう受注者でありたいし、
それを認められる発注者でありたいと思います。

Z-FLAGがWebに仕事を載せていないのも、上記のような理由からです。

真面目に考えれば、
自分たちの仕事として公に発表する許可を取るのが大変面倒になってくるのです。
今現在の我々の仕事のやり方では、関わった部分を伝えるのも非常に難しい。
できれば直接会って説明しながらお見せしたい。
それは、現在と将来のクライアントに対する、敬意の現れでもあります。

いろいろ不利なのかも知れません。
しかし下手なやり方で世界中にひけらかさなくても、やり方はあるはずです。