新人君と人生とナビゲーションシステム

先日、車で高速道路を運転していたら、ナビが予定よりずっと手前で高速を降りるよう指示してきました。
高速の先に渋滞があることは解っていたので、ナビが渋滞状況の変化を考慮して指示を変えてきた事は明らかでした。しかしそのまま敢えて渋滞に入るという選択肢もありました。夜の一般道は、渋滞の高速より危険かも知れません。
実はその日はもう2度ほどナビゲーションの指示を無視して、良かれと思った別の道を選択していたのですが、2度とも失敗したと感じていたのです。
なので今回は指示に素直に従い高速を降りました。

結果としてほぼ最初の見積と変わらない時間に目的地に到着し、満足ではあったのですが、その時思った事があります。

運転中、私は同乗していた息子に「人生と同じで、この選択が良かったかはフタを開けてみないとわからないよ」と冗談で言おうとして、その時ふと思ったのです。
いや待てよ、、これはフタを開け「ても」わからない事じゃないのか?

つまり、その時にどちらのチョイスをしようと、選択されなかったもう片方の選択肢は必ず仮定になってしまうのだから、正しかったかどうかはいつまでも分からない、という事です。

シャレで言おうとしていたのですが真面目に考え直してみても、人生も同じだと思います。

私もこれまでの人生でいろんな選択をしてきました。大学と専門学校をダブルで通おうと決めた時。当時全く無名だったポリゴン・ピクチュアズへの就職を決めた時。そして退職を決めた時。どれも悔いはありませんが、本当にそれが正しかったかどうかを「客観的に見ること」は不可能なのです。
「あの時こうしていたら」と思うことは自由です、でもそれは仮定でしかありません。
転職する人も、離婚する人も、不幸になろうとしてやるわけじゃありません。その先に幸福があると強く思い、それがその時点で最適の選択肢だと思ってするのです。

では何を基準にすべきか。

それはもう主観しかありません。「自分がどう思うか」以外の何物でもありません。幸せかどうかを決めるのも、自分自身です。未来の事は誰にもわかりません。
ナビゲーションシステムはあくまで選択肢を提示するだけです。最後に決定し、責任を取るのは自分です。だからこそ、その時の情報を吟味して、自分で責任を負う、その覚悟で決定を下さないといけません。

現代の教育はともすると「自分で責任をとる」事に慣れないまま大人になる方向になっている気がします。だから素のままで錯綜する情報の海に飲まれかねないなと危惧しています。

「ナビがこう言ってたから」「親がこう言ってたから」「友達がこう言ってたから」「尊敬する誰々が」「ネットではこう書いてあった」
今はいくらでも情報が溢れています。いろんな意見の人がいて、正反対の事を言っていたりします。

他人の意見を聞き、参考にするのは良いでしょう。できるだけ沢山の情報を得るのは決して間違いではありません。
でも最後に責任を持ち、決定するのは自分です。でなければ失敗を他人のせいにして、後悔する人生が待っています。自分で道を決定し、自分でその責任を負う人生こそ幸せだと、私は思います。

「最後の決定は自分で行い、その責任を持つ。」この事だけは、若い人には忘れないで欲しいと思います。

 

Z-FLAGでは最近、就職前提でアルバイトを始めてくれる人がやっと1人、今はたった1人ですが決まりました。

今年は選定基準を我々なりに見直し、できるだけ深掘りし、説明会や面接をたくさん行って決めているので、その基準で選ばれた最適の、チームにとっても悔いのない人選です。

人は誰でも自分が主人公です。自分の事を思い出せばわかりますが、彼に取ってウチを選ぶということは、人生をかなり左右する重大事だったはずです。

私の入社当時の選択に悔いはありませんが、あの時私がポリゴンに感じていた可能性・魅力と比べ、ウチのそれは微々たるものだと思います。

でも彼は、ウチを選んでくれた。

それは彼の、私と我々チームに対する期待でもあり、プレッシャーでもあります。

そして彼がウチにいつまでも居たい、そしてCGを作り続けたいと思えるチームになるには、「この会社に入って本当に良かった」と心から思える場所になるには、私もチームもこれからどんな成長をしていくべきなのか。そして彼にはどんな未来を指し示せるのか。

これからも私は変わり続け、チームも変わり続けます。停滞は後退だと思っています。

この成長にはわかりやすいナビゲーションシステムもなければ、模範解答もありません。人生と同じで吟味して深堀りし、言語化してよく考え、悔いなく決定する事だけが正しい道です。

課題は山積みですが、この挑戦を共に楽しみつつ、皆で乗り越えて行きたいと思います。

Z-FLAG

東京の神保町のCGプロダクションです。日本一を目指して活動中

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